タフィ・ローズを捜しています

最愛の野球選手であるタフィを超える選手を捜しながら、80年代、90年代のプロ野球の記憶などを記録していきます。

時を止めるか、進めるか

2021年シーズン後半戦が始まって久しいが、相変わらずバファローズは単独首位をキープしている。しかし「混パ」とはよく言ったもので、2位のロッテと1.5ゲーム差に迫られており(当エントリ執筆現在)、まあ内心はヒヤヒヤである。

それにしてもシーズン序盤とはうってかわって、上位打線、下位打線ともに、ビハインドであっても「なんやかんやで逆転するやろ」という期待を寄せながら試合を観るようになった。

福田-宗-杉本-吉田ときて、DHにルーキー来田。

山本、宮城に富山、ヒギンス、平野。

ここに列挙していない選手ももちろんすばらしい活躍をみせているし、純粋に観ていておもしろいな、と感じるし野球中継の時間が楽しみなのだ。

このまま突っ走るか。このまま逃げ切るか。

首位独走のまま、時を一気に進めたい。浮足立った気持ちの一方で、あの日、あの試合のあの時間のままで時を止めたい衝動と哀愁にかられることがある。

 

代打の代打でロメロ特大ホームラン

2021年5月4日、西武ライオンズvsオリックス・バファローズ@メットライフドーム

8回表、6-4。2点ビハインドで代打T-岡田選手が打席に送られたが、西武側の投手交代に合わせてバファローズベンチも再び動いた。

代打の代打で登場したのが、楽天を経て再入団を果たし、遅れての来日~合流して間もない、私が大好きなステフェン・ロメロ選手だった。

私は現地で観戦していたので忘れもしない。

www.youtube.com

 結果は、リンクをお借りした動画の通り。

なにが起こったかわからないぐらいの打球の弾道を目の当たりにして、ロメロファンをやっていて本当によかったな、と涙ぐんだことを覚えている。

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試合は結局引き分けだったが、今年もロメロメロメロでいったるわ、と意気込みながら西武線で帰路についた。

 

悲報ふたたび

代打の代打でホームランを決めて以来、ロメロ選手はスタメンだったり、DHで出場をして、打ったり打たなかったり、といった状態を続けていた。

もうちょっとできるはずなのに、と思いながら迎えた、東京五輪開催に伴う公式戦中断期間。悲報が舞い込んだ。

www.sponichi.co.jp

通常とは違う、パンデミック2年目のシーズン。世情や事情が特殊で深刻なだけに、ファンとしてむやみに退団を悲しんだり、怒りの気持ちをもつこともできず、しばらくぼんやりとして過ごすしかなかった。

本人の幸せと健康な生活が最優先だよなあ…それはわかっていても、あの代打の代打でホームランを打ったあの瞬間で、時が止まればいいのに…

ロメロ選手だけではない。同チームのブランドン・ディクソン投手をはじめ、家族と来日できないことが理由で、日本でのプレーをあきらめたNPB選手が今季、何人いたことか。

選手当人のお気持ちがあるのなら、NPBなり球団なり、パンデミック特例として2022年以降の契約保持などの動きがあってもよい気もする。

 

また入団してね

悲しみや寂しさや、パンデミックに対する、ぶつけようのない怒りを抱えながら迎えた後半戦第1戦は、マリンスタジアムでの対ロッテ戦だった。

関東在住の私はビジター外野席を購入して、本人はいないけれど、今年の69番のロメロ選手のユニフォームを着こんで観戦した。

そしてそのユニフォームには急ごしらえで書いた「また入団してね」の紙を貼って、ラッキーセブンで掲げた。

ロメロ選手本人に届くかどうかはわからない。それでも私にできることは、せいぜいそれぐらいのもの。同じファンが集まる場でそのメッセージを掲げて少しでも気持ちを落ち着かせたかったのだ。

二度あることは三度ある。二度、バファローズに入団した実績があるのなら、三度目もあるかもしれない。

 

時を止めるか、進めるか

当然、時を止めることはできない。

野球ファンとして、やり場のない感情を慰めるものは、応援するチームの快進撃ただひとつだろう。そういう意味では今のバファローズの単独首位は崩れてはいけないものだし、このまま時を進めるのみなのだ。

コロナ前のキャンプでいただいたロメロ選手のサインが入ったグッズにほこりがつかないように保管して、奇跡の再々入団を期待しながらチームを変わらず応援し続けて、秋を迎えることにしよう。

 

ロメロ選手も、ディクソン選手も、オリックス以外の、苦渋の帰国を選択した選手みんな。

また入団してね。

 


 

記録はつづく