ちょこちょこ、行ってますか 西本幸雄メモリアルゲーム開催によせて
当エントリ執筆当日の 2020年10月1日(木)夕刻、西武ライオンズ対オリックス・バファローズ戦は、「誇り高き闘将~西本幸雄メモリアルゲーム~」として開催される。
私も東京から出向いて現地観戦したかったが、諸事情により自宅観戦をする予定となったこの試合。プレーボール直前に、西本氏と、このメモリアルゲームに寄せて、自分の思いを記録しておきたい。
西本幸雄氏とは
1950年に毎日オリオンズ(千葉ロッテマリーンズの前身球団)に入団したプロ野球選手であり、引退後は、同オリオンズ(就任期間:1954 - 1960)、現オリックス・バファローズの前身球団である阪急ブレーブス(1962 - 1973)と近鉄バファローズ(1974 - 1981)の監督を務め、それぞのチームを優勝へと導いた、闘将と称される野球人である。
(上記は簡略化しすぎだと多くの方からお叱りを受けそうだが、詳細はwikiや書籍などをご参照いただければ幸いだ)
私は1980年代初頭の生まれである。つまり、西本氏の現役選手時代はもちろんのこと、監督としての姿をリアルタイムで知りえない世代だ。
それでも同氏のことが気になるのはなぜだろう。
ちょこちょこのおっちゃん
リアルタイムで監督時代のお姿を拝見できなかったけれど、野球観戦が趣味になる以前の、こども時代から同氏のことはなぜか知っていた。
1980年代後半から90年代初頭まで、関西地方で放送されていた、河久という日本料理屋のCMに出演されていたのが主な理由だ。
CMの冒頭から繰り出される、西本氏の「ちょこちょこ、行ってますか」という耳に残るフレーズ。
野球選手としての同氏を知らなくても、「ちょこちょこのおっちゃん」として認識している同世代の関西出身者は多いと思う。
私自身、90年代に近鉄を応援しはじめて、目の前の選手や試合に熱狂することはあっても、球団の歴史やOBについて知ろうすることはなかった。野球は好きだけれど「ちょこちょこのおっちゃん」が近鉄やブルーウェーブ、ロッテ(それぞれ90年代当時の球団名称)と切り離せない、名将・西本幸雄であることを知らないままでい続けた。
「おっちゃん」から「西本監督」へ
「ちょこちょこのおっちゃん」だけにとどまっていた私の認識が変わることになったきっかけ、それは、長らく野球観戦から離脱していた私が、現在のオリックス・バファローズの応援を再開したことにある。
わけても、現オリックス主催の復刻試合観戦による影響は大きい。かつて応援していた近鉄について掘り起こして調べてみたり、阪急に興味を持ち始め、球場跡地やゆかりの地に足を運ぶきっかけを与えてくれた。
(いずれも当ブログ内記事)
いろんな場所に出向き、調べものをする際に必ず登場する西本幸雄氏の名前と写真を見て「あのおっちゃんが西本幸雄やったんか!!」と一致した時、とてもうれしくなったのを覚えている。またCMでは優しそうに見えるおっちゃんが、監督としてはめちゃくちゃ厳しかったという話を読み聞きして、驚いたのも事実だ。
同氏について知見を深めるにつれ、西本氏を「ちょこちょこのおっちゃん」などと心の中で呼ぶことはなくなった。
当時のファン目線を垣間見る
本日の「誇り高き闘将~西本幸雄メモリアルゲーム~」開催にあわせて、今まで繰り返し読んできた西本氏関連書籍などを、もう一度読み返したくなってきたし、当時を知る世代の野球ファンに話を聞いてみたくなってきた。
ちょうど、現オリックス球団職員の花木聡氏が、メモリアルゲーム開催によせて時のファン目線も交えて発信をされており、リアルタイムを知る世代・知らない世代交えて思い出談義をされているのが興味深いので、リンクを貼らせていただく。
【闘将・西本幸雄①】1920年和歌山県和歌山市生まれの西本幸雄氏は、旧制和歌山中学時代、甲子園大会の地区予選で伝説の大投手嶋清一と対戦した経歴があります。野球人生をスタートさせたばかりの時点で、このエピソードに恵まれるあたり、やはり西本氏は野球の申し子なんだなあと思います。
— hanaki (@1963hana) 2020年9月30日
このシリーズのツイートは⑭まで続いている。(この後さらに追加される可能性あり)ネット検索や球団関係者目線の書籍では、あまり知ることのできない当時の「ファン目線」「ファンの思い出」。楽しく拝見させてもらった。
※当時小学5年生だったボクは父親を相手に「絶対近鉄、強なるやん」と断言しました。われながら先見の明ありと褒めてやりたいです。実際は単なる愚痴だったのですが。ちなみに73年の近鉄は借金39。ぶっちぎりの最下位でした。
— hanaki (@1963hana) 2020年9月30日
阪急監督退任後まもなく近鉄監督就任決定の際の、阪急ファンの心境たるや。
タイムマシンはないけれど
生の西本野球を観戦してみたかったけれど、タイムマシンがない限り、それは不可能だ。
かといって、西本野球をリアルタイムで知らない世代の野球ファンが不幸な存在だとは決して思わない。いつの時代も、野球観戦を通して、先の世代のファンと等しく貴重な経験をしていることに違いないはずだ。
タイムマシンはないけれど、メモリアルゲームが催され、各時代を盛り上げた選手や監督に敬意を表す機会を持ち、私のように、西本氏を知らない世代のファンが、
「西本幸雄って何した人?」
と興味を持つきっかけになれば、この試合は十分意味のあるものになるだろう。
連れて行ってもらったことありません
おわりにかえて、例のCMを再度掲載したい。
西本氏「ちょこちょこ、行ってますか」
一同「ちょこちょこ、連れて行ってもらいます」
というコール&レスポンスのすぐあと、
「連れて行ってもらったことありません」と、右端の男性が突如レスポンスするのが奇妙で、この人仲間外れか?とCM放映当時は話題になった。
「ちょこちょこのおっちゃん」として認識するきっかけとなったこのCM、30余年の時を経て、現オリックスファンの立場で改めて視聴すると、
「(チームを優勝に)連れていってもらったことありません」
という、オリックスファン特有の自虐の叫びにも聞こえてこないだろうか。(こないか。)
なにはともあれ、本日の西本幸雄メモリアルゲーム、現オリックス、復刻ブレーブスの圧勝でありますように。
記録はつづく